ジュゲム [渓流と湖の釣り/IN THE FIELD vol.46]

エゾイワナのルアー釣り

ジュゲム

 

瞳を刺す様な強い光が僕の眠りを邪魔してきました。
うつろうつろしていると、また、濃いグレーの薄暗い空に光が何方向にも走り、ドーンという鈍い音が響き渡ったのです。
漸く車で夜を過ごした事を思い出しました。

窓越しの雨

 

ここは、自宅からはるか遠く離れた秋田と岩手の県境にある道の駅。
当てもなく出発した釣り旅の二日目の朝を迎えていました。

 

ヤマメ釣りの写真

前日そこそこ良い釣果に恵まれて、期待に満ちて眠りに付いたハズの僕の野望は見事に砕け散りました。
気圧よりも急降下したテンションと寝起きの重たい思考によって、とうとう身体はフリーズしていました。

あぐらをかいて暫し物思いにふけていると、膝に乗って来たのは相棒であるコーギーの尻でした。
雷が怖かったのか、それとも朝ごはんの催促か?
ぼちぼち動くとしよう。

雷雲から逃れる様に、北東へ向けて車を走らせます。
一時間ちょっとも走れば雷の脅威無く釣りが出来そうな川を見つけ、釣りスタートです。

 

青森の渓流ルアー釣り場
青森の渓流でイワナ釣り

 

ルアーでイワナ

チビイワナが沢山じゃれてくる川で、スピナーをメインに心地よく釣りをしていたのも束の間でした。
雲が追い付いて来てポツポツと帽子のツバを叩くのです。
「マリオに出てくる雲に乗ったアイツ何だっけ?」
相棒は首を傾け僕を見ている。

やむなく移動と成ったのですが、道中も東北らしい景色が和やかな雰囲気を醸してくれて釣りが出来ない事への不満を和らげてくれるのでした。

 

青森で釣り場を移動中青森の田園風景

 

そして数年前に訪れた事のある渓に流れ着きました。
相変わらず空は厚い雲に覆われているけれど、幸い雨量は小雨。

明日の渓流釣りを前に

 

翌日は勝手の解るこの渓で釣りをする事にしました。
しつこく纏わり付く雲は健在で、ミスト状の雨の中での釣りとなりました。

青森の渓流ルアーフィッシング

 

渓流にマイナスイオンが漂う

 

しかし、以前来た時と変わらない渓相は何だか安心感を与えてくれます。
「おかえり」と言わんばかりに優しい流れで、渓魚達もまた無邪気に出迎えてくれたのでした。

 

ジャクソンのミノーにヒットしたヤマメジャクソンのミノーでヤマメ釣り青森のミナモに溶けるヤマメ

 

表層でダートしたミノーを黒い影が一瞬追う。
そんなやり取りを繰り返していました。

大きな岩を右岸から巻くと、勢い良く下った瀬が傾斜の緩く成った砂地でレースのカーテンの様に揺れています。
クロスに取った立ち位置からミノーを流し、ダウンで待つ事数秒。
待望のヒットです。
大きく首を振りながら懸命に抵抗する正体は何か?
白泡の下に潜ろうとするそいつをULロッドでジワジワと引き寄せました。
浅瀬に出てからは得意のローリングで最後の抵抗を見せましたが、隙を見てネットで掬い上げてやりました。

立派な面構えのエゾイワナです。

立派な面構えのエゾイワナ

 

普段、ヤマトやニッコウを釣る事が多い僕には、このホワイトスポットの大きなエゾイワナも珍しい存在なんです。
豪雪地のイワナはこんなところから海に降って行くのだろうか?なんて考えると感慨深いものが有りました。

釣りを終える頃には雲は何処かに消えていました。

明日は何処に行こうか?
そんな事を考えながら温泉に浸かり空を眺めていると「ジュゲム・・・。」

もう何年もやっていなかったゲームのキャラクターの名前がポッと浮かびました。
雲に乗って追いかけてくるアイツ。

次のステージではどんな敵が待っているのだろうか?
そう考えると、ビシャビシャに成りながらの釣りも悪くないと思えたのでした。

 

タックル

ロッド:ジャクソン カワセミラプソディー 512ULL / トラウトアンリミテッド454UL
リール:シマノ ステラ C2000SHG
ライン:YGKよつあみ G-soul UpgradePE 0.3号
リーダー:ナイロン 5lb.
ルアー:ジャクソン 雫62V / アーティストFR55 / プロトスピナー 他

カメラ
Nikon AW1

ロケーション
青森県 

 

木下 進二朗

PHOTO & TEXT

[IN THE FIELD] The second angler
木下 進二朗

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