「長良鱒」 [渓流と湖の釣り/IN THE FIELD vol.41]

長良川のサツキマス

「長良鱒」

 

転勤

 2017年12月初旬、妻から思わぬ言葉を聞かされる。
 「来年(2018年)は春先から夏にかけて、雨の日が多いんだって」
 ショックだった。浜松市内を流れる天竜川はとても雨に弱く、渇水にはめちゃくちゃ強い川だったからだ。まさか、12月から来年の3月に始まるサツキマスの事を杞憂しなければならなくなるとは思わなかった。しかし、そんな心配も束の間、12月末に突然の転勤が命じられ名古屋に戻ることになったのだった。

 

1月〜3月の名古屋

 名古屋に戻ってからは、浜松時代が嘘のように仕事に追われ平日の釣行はもちろん休日の釣行もままならなくなった。(というか、近場行くところがない)
 それでもこのままじゃダメだと思い、ブログを通じて友達になった堀内氏と名古屋のシーバス釣りに行ったりはしていた。

 

春解禁

 日中の最高気温が25度に届く日が続き、長良川漁協管内の水温も14〜16度くらいで安定し始めた4月中旬。その時から週末の朝一、1チャンスに掛けて長良川入りを始めていた。長良川への本格参戦は今年からだが、元々は故郷であったこともあり、地元の友人であり釣友の平下君が色々と情報を教えてくれた。(普段、平下君とは呼んだことはないが…)

長良川のニジマス
▲ 長良川での記念すべき初トラウト…虹鱒が釣れるのは珍しい

 

ゴールデンウィーク

 僕も一端のサラリーマンなので9連休とはいかないまでも、暦通りの連休はある。そんな連休前半29、30日の2日間が釣りをして良い日に割り当てられた。

 初日は中央管内から長良川管内までをあちこち彷徨い、目星しいことと言えば上州屋穂積店のクジ引きで3等賞(500円券)が当たったことでしょうか…。
あとは実家が長良川から近いので、朝飯、昼飯、昼寝、夜飯は全て0円で済ませことが出来ることに気がついた。

ルアーフィッシングフィールドとしての長良川
▲ 中学生の頃、学校の友達と飛び込んだ岩山…まさか10数年後にこの場所で釣りをすることになるとは思いもしませんでした。(冒頭に出てきた釣友の平下君は当時、一緒に飛び込みに行きながらも一人竿を携え釣りをしていました。流石)

 

決戦は長良川管内

 2日目はどうしようか…どうせやるなら朝一しか狙えないとこにしよう。そう思い向かったのが千鳥橋上流の瀬から淵に流れこむポイント。この場所は日が高くなるとモーターボートに乗った人間が上流目指して遡上をするのだ。その前に遡上するであろうサツキマスを迎え討つつもりであったが、特に何のドラマもなく。2ヶ所目も同様だった。

長良川の流れを遡上するサツキマスを釣る

 3ヶ所目はどこにしよう…陽も完全に登り時刻は7:30。釣れた情報でもないかとヤフーブログを開き、長良川界隈のアングラーのブログを見ていると一人、前日に魚を掛けてバラしたとの情報が記載してあった。ご丁寧にその大まかな場所まで載った写真がアップされていた。
 ベテランであればその情報から遡上を読み、それより上流にポイントを移すことを考えるのだろうが、僕はとりあえずそこに向かってみることにした。対岸には一人、こちらには誰も居ない為、瀬から開きにかけて根気よく釣り下ることにした。

 周囲の気温もグングン上がり、鮎も深場から浅瀬に移動して藻を食み食み(はみはみ)し始めている。開きの向こうの浅瀬では鮎が時折水面を割っている。この程よい流速で程よく浅い瀬は天竜川にも似たシュチュエーションがあり、昨年もそのシュチュエーションで一尾を手にしていた。
 これはひょっとしたらひょっとするかも?なんて淡い期待をしながら、ひたすら竿を動かしていたその時。もっさりとした重みがロッドに伝わり、グリングリンと水中から激しくフラッシングするその魚は大本命のサツキマスだとすぐにわかった。
 一発目のグリングリンをかわして、すぐにランディング姿勢へと持ち込んで無事にネットイン。幸いに掛かりどころも良くて出血もない、最高の一尾が釣れてくれた。(吸血されたか鵜の攻撃にあったのかはわからないけど鰭の横にはまだ癒えぬ傷があった)

長良川のサツキマスをルアーで狙う。

 体高も身の厚みも申し分ない長良鱒が釣れた。大きさはメジャーがないので手尺だが40cmはあるように思える。
 ヒットルアーはtwinkleのmute、DUOのRYUKIが全盛となる前からある、元祖平打系ヘビーシンキングミノーであるらしい。(ナチュラリストリバーサイドでお手伝いに来ていた店員さんからのススメで購入)

 このミノー何がすごいかってラインテンションを保ちながらドリフトすると平行姿勢をキープしてユラユラ揺れながら流されていくんです。で、流しきったらひたすらトゥイッチさせるのが僕の使い方だけど結局喰ってくるのはトゥイッチ中なんだから、前半の流しは自己満足的な感じでしょうか。

 

長良川のサツキマス釣り

 冒頭で妻が言った「雨の多い年」は本当で、現に天竜川はダムからの放水が続き4月30日現在までで釣りが成立した日は7日間もあるかないかといった感じじゃないでしょうか。
 転勤で本社勤めになり、釣りに行く日数や時間は減ったものの、その分まとめて釣りに行けるし、長良川も近くなったので、結果的に転勤して良かったと思えました。
 減少の一途を辿るサツキマスですが、こうして今年も巡り会う事ができたことに安堵と喜びを強く感じました。出来ることならば、この川でこれからも生命を繋いでいってほしいと思います。

 

タックル

ロッド:Anglo&company Paragon743
リール:DAIWA CERTATE vintagecustom2500R
ルアー:twinkle mute

カメラ
NIKON AW1

ロケーション
長良川 (長良川漁協)

 

Satoru Sasaki

PHOTO & TEXT

[IN THE FIELD] The 6th angler
佐々木 悟

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