あのムダに激しく意味不明なバイトは何?!バイトで考える捕食のプロセス[鯰釣りの作法vol.22]

鯰の作法

毎年のように暖冬であるような気がする。しかし、今年は特別にそれを実感する。新規ポイントの開拓やデイゲームを晴天の日に行えば暑くてアウターが不要になってしまい、体は汗ばんでのどが渇く。そうかと思えば突然の寒波と降雪が都市機能を狂わせた。こうまでおかしいと冬本来の長く冷たい気候が恋しくなってくる。

10年ほどナマズ釣りをしていて、ずっとナゾだったことがある。ナマズのバイトに関することだ。通常のバイトは捕食音と水面の波立ちによって「パン、パパン、ジャバ」くらいのものだと思う。しかし、時に狂った様に水面を割って出たり、体を激しく水面に叩きつけて大きな飛沫を上げるという全く意味不明なバイトがある。擬声語で表現すれば「ドバンシャ!!パンパン!!ジャバババ!ンパッツ!ンパッツ!バシュン!」とでも書こうか。プレデターらしからぬ全くスマートでないバイトは何を物語っているのか長らく見当がつかなったのである。

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しかし、その意味不明な激しいバイトについてやっと自分なりの仮説ができた。その仮説とは2つある。1つは「ナマズは水に絡む金属音が好きでたまらない説」もう1つは「ナマズは野ネズミが最高のごちそう説」である。いずれも科学的根拠はなく、あくまでフィールドで感じたアングラーの直感に基づく推測の範囲で解説したい。

仮説1「ナマズは水に絡む金属音が好きでたまらない説」

ナマズ釣りがブームになっている要因の1つは、エキサイティングなトップウォーターゲームが成立することだろう。激しい水しぶきを上げながら独特の捕食音で何度もルアーにバイトしてくるその釣りはナマズならでは。しかし、この激しく特有な捕食スタイルはルアーフィッシングでのみ見られる行動であり、通常のベイトフィッシュを捕食する際は、それに比べて控えめである。試しにトップシーズンの夜間に、川などのコンクリート護岸やテトラをライトで照らすと良い。ナマズがベイトフィッシュを追いつめて捕食する光景を見ることができるだろう。そこでは、ルアーフィッシングで見せる激しいバイトには程遠い地味な捕食が行われているはずだ。(しかも食いミスしない。)

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夜間、ナマズはテトラやコンクリ護岸にベイトを追い詰めて水面で捕食している

 

この激しいバイトとそうでない場合とでは、何がナマズをそうさせているのかを考えると「ルアーがナマズを興奮させている」のではないだろうか。さらに具体的には「フックやラトル、ブレードが放つ金属音」に対してナマズは特別な興味を抱く性質を持っているのではないか(金属音に限定したのはノイジープラグ以外でもナマズが釣れるためだ)。故に、ルアーに対してのみ激しくアタックしてくるのではないだろうか。

キャストされたルアーが着水し、同時にフックなどの金属音が水中に放たれる。それを察知したナマズは瞬時に興奮のスイッチが入りルアーへ猛進する。おそらくナマズは、ルアーに対して目がハート状態であり、人間で言えば理性を失っている状態で捕食を行おうとしているのではないだろうか。そう考えればミスバイトが多発したり、激しく水面を波立たせたりする行動が理解できるのではないだろうか。

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ブレードやペラだけでなくフックやスプリットリングも音の発生源だ

 

ルアーが放つ音と波動を察知して捕食に向かうという単純なプロセス以外に、ルアーが放つ金属音に興奮のスイッチが入り半狂乱の状態でバイトするという別のプロセスが考えられるのではないかということだ。普段捕食しているものとは明らかに違う何かでありながら、わざわざルアーへバイトしてくるナマズはきっと水に絡む金属音が好きでたまらないのだと推測する。

 仮説2「ナマズは野ネズミが最高のごちそう説」

水田地帯にあるクリークなどでナマズを狙っていると、白昼にも関わらず「野ネズミ」が姿を現すことがある。対岸の草木がカサカサと揺れたり静まったりを繰り返していればおそらく野ネズミ(またはテン)だ。じっと対岸を注視していると野ネズミがひょっこりと水辺に下りて顔を出しながら川を渡ったり、下流へ潜ったりするのを見ることがある。当然、夜間であればその頻度は昼間よりも多いと思う。

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水田地帯のクリークは野ネズミの他、夏季にはカエル等もメインベイトになる

 

この野ネズミはナマズにとってベイトフィッシュよりも栄養価が高く、本能的に優先して捕食へ向かう対象となっているとは考えられないだろうか。ベイトフィッシュに比べてその個体数と川に入る確率は少ないため、ナマズは野ネズミの気配を察知すると仮説1で述べたように興奮のスイッチがオンに入り、これまた半狂乱の状態で捕食を行うのではないだろうか。さすがに野ネズミがナマズに捕食されるシーンは見たことがないが可能性は否定できないと思う。そのように仮定すると、一般的にナマズ釣りに使われるルアーの大きさや放たれるサウンドは野ネズミにぴったりとリンクする。故に激しく意味不明なバイトが発生するのではないだろうか。

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日が暮れる頃、田畑を流れる水辺にはタヌキやアライグマ、ハクビシンも現れる。そんな時はロッドを置いて、彼らをこっそりと観察するのもまた楽しい。

 

繰り返しになるがここで述べた仮説に科学的根拠はなく、あくまでアングラー目線でのみ考察したに過ぎない。全く的外れな考察かもしれないが、こうした考察(妄想?)をするのも釣りの楽しさの一つではないか。

なお、もしナマズの激しいバイトについて科学的見地を持っている方がいらっしゃれば、ぜひともご教示願いたい。

この記事の著者

水面屋(みなもや)

水面屋(みなもや)鯰釣り師

首都圏在住。小学校低学年からバス釣りを始める。高校入学と同時にロッドをギターに持ち変え、釣りから暫く離れる。男三十路にして鯰くんに男惚れ。現在はツララでビッグベイトを振り回し、メーターマナマズとロクマルバスを追う日々。

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