トラウトルアー図鑑25: トビー

スウェーデンはアブの代表的スプーンでトビーです。釣れるスプーンとして昔から有名。

アブ、トビー

” To be or not to be: that is the question. “
生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ。は、ハムレット。
アングラー流には、
” Toby or not Toby: that is the question. “
トビーか、トビーでないか。。となります。
故 開高健氏がフィッシュオンの中でも紹介している有名なフレーズ。

北欧のサケマス釣りのためのスプーンとして造られたトビーは、歴史が古いだけではなく、いつの時代も、釣れるスプーンとして、高い人気があった様です。

写真、ヒトキワ年季の入ったヤツは、アブ、70年代の7グラム。
エビスが日本総代理店をしていた頃のもので、スウェーデン製。
ゴールドの小さいのが、アブ・ガルシアの4グラム、スウェーデン製。
コパーは同7グラムで台湾製。
この後は中国製です。

古いモノほどディテールの造り込みがイイ。
ブランク(板金をルアーの形に打ち抜く工程)後の断面の処理もきれいだし、ウロコは、一枚一枚に傾斜が付いていてホントいい仕事してマス。って感じ。
台湾製は、スジ彫り状にウロコ模様の溝が入っているだけです。
少なくとも人間へのアピール力となると、この差は大きく違ってくる。
放つオーラが違うという感じ。

次に魚へのアピール力について。
表面の凹凸に関しては乱反射のしかたに違いが出てくると考えられるものの、どちらがイイというコトでもないでしょう。

で、ボディーのカーブに関して、です。
古いほうが、カップが浅い。これはどうか。。?

その前に。トビーには、スイベルがついていますよね。必要でしょうか?
答えはYES。
このスプーンは回転します。つまり、“ヨリ戻し“が必要。
ウォブリングと回転の相乗効果で魚にアピールする。

で、カップが深いと、若干、回転が抑えられ、ウォブリングのほうがやや強めになってくる。
どちらがいいかは、どう使うかにもよりますが、トビーらしさ。なら、やはり古いほう。
カップが浅いほうがいい。
少しの差ではありますが、古いほうが良く回る。

前回のトラウトルアー図鑑24( https://www.lure-life.com/news/area/trout-lure/pin-tail.html )で、中禅寺湖のレイクトラウトを狙うのに、スライド系と呼ばれるスプーンが効く。と書きました。
ロデオクラフトのM.T.レイクスに代表されるスライドスプーンは、曲げてはあるけれど、カップがありません。
カップで水を受けるのではなく、水を切る構造。
ラインテンションをかけた状態のカーブフォールでは、チラチラと回転しながら、斜めにスライドしながら沈下していく。
この性能がトコトン突き詰められている。

M.T.レイクスのお話しは、また別の機会にさせていただこうと思いますが、ここでひとつ凄いのは、ルアーそのものの性能もさることながら、このアクションを、“スライド”というキーワードと共に、メソッドとしてキチンと確立して、広めたところ。

トビーの良さに気付いていたのかどうかは分かりませんが、実は、細身のスプーンで、最初からスイベルが付いているタイプのモノの中には、回転系のアクションをするものが多いし、カーブフォールでは、スライド。と、言うと怒られてしまうカモですが、そういう感じのアクションをするものがあります。

(even)

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