私は絶対にやらないと決めている釣りが三種類ある。
まず、鮎。知ってのとおり日本を代表する釣魚であり、その釣趣、食味、写真写りまで最高というパーフェクトフィッシュである。
次に磯上物釣り。川の釣りの代表が鮎だとしたら、海の代表はこれであろう。
長竿を巧みに操り、コマセに集まった獲物がアタリを出せばすかさず竿が立つ。静から動への真剣勝負。まさにサムライの釣りと言うに相応しい。
そしてルアー関係ならエギング。日本の漁師が考案した漁具を現代風にアレンジした異色のルアーフィッシング。魚より賢いといわれるアオリイカにルアーで挑む難しさが逆に受け、アオリイカの希少性と相俟って大ブレイクした事は記憶に新しい。
こんなに素晴らしい釣りを何故やらないのか?と、問われれば、それは危険だからである。
これら三種の釣りには狂が付くほどのコアなファンが居て、迂闊にそっちまで手を出してしまうと、いよいよ私は釣り廃人の域にまで達してしまいそうだから、私の個人的な事情で手を出せないでいる。
特にエギング。
堤防から時々良いサイズのアオリイカが見えるもんだから危険極まりない。
手を出してしまったら、きっとエギングの麻薬的魅力の虜となり、一年365日、エギングロッドをしゃくり続けるアオリ廃人と化してしまう事は目に見えている。
ところで、話は変わって最近タコエギなる新たなエギングが登場し、静かなブームになっているようである。専用のタックルも開発され、堤防から狙える新たなルアーフィッシングのターゲットとして注目されているらしい。
(;´Д`)タコなら大丈夫じゃね?希少性もないし。
思えばこれが事の発端。
「シンナー遊びちげえよ、ガスパンだよ」
いえいえ、そういうのが事の始まりなんです。
人はこんな風に落ちてゆくのかもしれません。
タコは、デビルフィッシュの異名を持つ魔性の釣もの。
皆さん、ゆめゆめお忘れなきよう。
これは、あるタコエギジャンキーの転落物語である。
きっかけは多分、Twitterか何かで見たんだと思います。うろ覚えなほど前の話ですが、拾ったエギを改造してタコが釣れるらしいという書き込みでした。なんでも、自作も可能ということで。
しかも、どんな風に作ればいいのかというと、まさに…
「どんなでもいい」というルアービルダーに優しすぎる癒し系ターゲットであるとのこと。
どんなのでも、というのは比喩的表現でもなんでもなく、〇ンガや美少女フィギュアに掛け針を装着してタコを実際に釣り上げた猛者まで居るらしい。
こうなったら行ってみるしかありません。
やおら冷蔵庫を引き開け、缶ビールを一気に一本飲み干したら試作開始です。
で、最初にできたのがこれ。
多分これでも良かったんだろうけど、釣果云々以前に牡蠣殻に根掛して瞬殺でロスト。
このタコエギ、形がどうの、動きがどうのという以前にまず、根掛対策を万全にしないと釣り自体が成立しない模様。
しかも、この時はミディアムアクションのシーバスロッドを流用したんですが、これが柔らかすぎて根掛り回避性能に問題あり。
タコの重量から考えて、それでも楽々抜きあげられるんですが、根に錘が当たった時にエギを跳ね上げ辛く、いつの間にか根掛かりしている事も。
そして、二回目の試作がこれ。
根掛かりはエギが岩の間に挟まっているんだろうと思っていたから、岩の間に入りにくい幅広のデザインに。これは半分正解で、半分見当違いでした。
根掛かりだと思って糸を強引に手繰ると、時々タコがくっついてくることが。どうやら、アタリを感知する前にタコが掛かっていて、岩穴に潜られている疑いが。
根掛かりもほとんどの場合で錘が岩に挟まり、それを外そうともがくうちに、道糸なりリーダーなりが根ズレしてロストに繋がっている様子。
じゃあ、玄人はどんなタックルで釣っているんだろうと、タコ釣り関係の動画を片っ端から閲覧してみるんですが、もう、そこがネタとキャラの宝庫で、私なんかが出ていくのも恐れ多いほど。
堤防の上をシャ〇専用ザク張りに高速移動する者や、終始ヒクヒク薄ら笑いを浮かべながらも、メタルジグをアレンジした独特の仕掛けで黙々とタコを釣り上げていく者や、同行者を巧みに罠にかけ、ドッキリ映像を撮る者など、いい意味で「トンでいる」のである。
私も負けるわけにはゆくまい、対抗して、新たなコンセプトを練る。
( ^ω^)このようなコンセプトで釣りたい(笑)
で、最終的にできたのがこれ。
バス用のラバジに似ていますが、頭の部分がフローティングです。辛うじてエギの体裁ですが、ハッキリ言って作った自分でも「なんじゃこりゃ」な物です。
これにホゴオモリという根魚専用の錘10号を付け、ダウンショット状態で使用。タックルはタコ専用のヘビーアクション。リールはバス用ベイトリール。ラインはPE3号。根ズレ防止にナイロンリーダー12号。
もはや、地球すらも抜き上げられそうなヘビータックルだけど、これがタコ釣りでは標準らしいです。
ここまですると、流石に根掛かりロストは半減。巻けなくなったら棒に糸巻き付けて強引に引っ張れば、ストラクチャーかタコが上がってくるという脳ミソ筋野郎仕様。糸はもっと太くてもいいかと思います。
しばらく、そのように筋脳の志士的強引釣法でポツポツ釣れていたんですが、やはり、ベテランはもっと効率的かつスマートに釣りをして成果を上げている模様。
とくに、こちらの動画は大変参考になりますので、LureNews.TVさんからチョット拝借、是非ご紹介させて頂きたいと思います。
タコをもっと釣るために大切な3つのこと! デビル渡辺オクトパッシング講座
https://www.youtube.com/watch?v=pAabwPTPIwQ
どうもこのタコ釣り、とてつもなく奥が深く、初心者がやっても釣れるけど、ベテランはその5倍は釣るらしい。
しかも、釣れたタコを行き付けの店、食処花樹に持って行って調理してもらったところ、想像以上に…いや、子供の頃に大好物だったあの、タコの味を思い出し箸が進む進む。
聞けば、現在、普通に売っているのは殆ど輸入品で、国産は高価だという。
(^q^)国産はウマイ、そして高価…
これは、いよいよ足抜け出来なくなった。
このタコ釣り中毒、しばらくは続きそうです(笑)
編集部より:
まだまだ生態に不明なところの多いタコですが、いたずらをしていてタコに咬まれると、案外、辛い思いをするようです。また、ヒョウモンダコは、猛毒を持っていて特に注意する必要があることも、最近時々耳にするようになりました。釣りは安全第一で楽しみましょうね!